「転倒」は高齢者に多いイメージがありますが、実は40代・50代からすでに転倒リスクはじわじわと高まり始めています。
60代になると転倒しやすくなることが多く、その前段階である40代・50代は、将来の転倒を防ぐための“準備期間”といえます。
私も働いている中で骨折により歩くのが大変になったり、生活に支障が出ている方を多くみます。
転ぶことを甘くみてはいけないのです!
今後の安全のためにも現役理学療法士が解説していきます!
40代・50代で始まる筋力低下
加齢とともに筋肉量は徐々に減少し、特に下肢の筋力が衰えると、バランスを崩したときに踏ん張れなくなります。
研究によると、筋力は40代から年に約0.5~1%ずつ低下し、運動習慣がないと50代ではさらに減少が加速することが分かっています。
「まだ大丈夫」と思っていても、つまずいたときに足がうまく出なかったり、ふらつくことが増えていたりしませんか?
そうした小さな変化が積み重なると、60代以降での転倒リスクが大きくなります。
今のうちに鍛えておくことが大切!
転倒は骨折や寝たきりの原因にもなりますが、適切なトレーニングを行うことで予防することが可能です。
特に 「転ばないために必要な筋肉」 を意識して鍛えることが重要です。
次の章では、転倒予防に必要な筋肉とその役割について詳しく解説していきます。
まずは、どの筋肉を鍛えれば転倒を防げるのかを知ることから始めましょう!
転倒予防に必要な筋肉とその役割
転倒を防ぐには、足首・膝・股関節を支える筋肉 がしっかり働くことが重要です。
特に、ふらついたときに素早くバランスを取るためには、以下の3つの筋肉群を鍛えておく必要があります。
足関節底屈・背屈筋群(ふくらはぎ・すね)
→ 立っているときのバランス調整に重要
- 人は無意識に 足首の底背屈を使って細かくバランスを調整している。
- ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋) が弱ると前後の揺れに対応しづらくなり、すねの筋肉(前脛骨筋) が弱るとつま先が持ち上がりにくくなり、つまずきやすくなる。
膝関節周囲の筋群(太もも)
→ しっかり立ち続ける力や、踏みとどまる力を発揮
- ふらついたときに膝が安定していないと、転倒につながりやすい。
- 大腿四頭筋(前もも)・ハムストリングス(裏もも) が弱ると、足が前に出にくくなり、踏ん張る力も低下。
股関節周囲の臀筋群(お尻)
→ 体のバランスを安定させ、横揺れを防ぐ
- 体の土台を支えるお尻の筋肉(大臀筋・中臀筋・小臀筋)が弱ると、立っているときや歩いているときの安定性が低下。
- ふらついたときに、体をまっすぐ保つためには、股関節の筋肉がしっかり働くことが重要。
この3つの筋肉がしっかり働けば、
「つまずいても踏ん張れる足」「安定して立ち続けられる膝」「バランスを支えるお尻」
が手に入り、転倒しにくい体になる!
次の章では、これらの筋肉を簡単に鍛えられるトレーニング方法を紹介します!
転倒予防に効く簡単な運動法
転倒を防ぐためには、日常生活に取り入れやすい簡単な筋トレを実践することが大切です。
特に、カーフレイズ(ふくらはぎを鍛える)、スクワット(太ももや膝周りを鍛える)、アブダクション(お尻や股関節を鍛える) は、キッチンなど身近な場所でできるので、忙しい日常の中でも取り入れやすい運動です!
カーフレイズ(ふくらはぎを鍛える)
→ 足首のバランス調整能力をアップ
【やり方】
立った状態で、つま先立ちをしてかかとを持ち上げます。ゆっくり下ろして、繰り返します。
【ポイント】
つま先立ちのときに、ふくらはぎの筋肉を意識して。30秒~1分間、10回を3セットを目安に。
スクワット(太ももや膝周りを鍛える)
→ 膝の安定性と足腰の力を強化
【やり方】
足を肩幅に開き、ゆっくり腰を下ろしていきます。座るような姿勢で膝を60〜90°程度曲げていきます。膝がつま先より前に出ないように注意しながら、立ち上がります。
【ポイント】
ひざが内側に入らないように意識しながら、15回×3セットを目安に。膝が痛い方は無理せず!
ヒップアブダクション(お尻や股関節を鍛える)
→ 股関節の安定性を強化し、バランス力を向上
【やり方】
立った状態で片足を横に上げ、ゆっくり戻します。1セットごとに交互に繰り返します。
【ポイント】
上げるときにお尻の外側の筋肉を意識し、15回×3セットを目安に。
トレーニングの頻度と注意点
【運動頻度】
- 週3〜5回を目安に、無理のない範囲で行いましょう。
- 毎日少しずつでも効果があります!
【注意点】
- 最初は無理をしない → 少ない回数からスタートし、慣れたら増やす
- 筋肉痛が出たら休む → 無理せず、次回の回数を調整する
- ふらつく場合は支えを使う → 壁や台を使い、安全に行う
④ストレッチ(運動後にやると効果UP!)
トレーニングの後にストレッチをすると、筋肉の緊張を和らげ、次の日の疲れを軽減できます。
- ふくらはぎのストレッチ → 壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につける(アキレス腱伸ばし)
- 太もも前のストレッチ → 片足を後ろに持ち上げ、足首をつかんで引き寄せる
- お尻のストレッチ → 仰向けになり、片足を反対の膝に乗せ、膝を引き寄せる
まとめ
- 40代50代は転倒しやすくなる前段階!今から筋力をつけることが大事
- 足首・膝・股関節の筋肉が転倒予防に重要
- カーフレイズ・スクワット・アブダクションで簡単に鍛えられる
- 週3〜5回を目安に、無理のない範囲で続けることがポイント
- 運動後のストレッチで筋肉をケアし、転倒予防をさらに強化!
転倒は事前の対策でしっかり予防できます!
「まだ大丈夫」と思っていても、今のうちから少しずつ運動を習慣にすることが、将来の安心につながります。
ぜひ、今日から始めてみてくださいね!